通貨スワップ1
2022/5/20、米国のバイデン大統領が韓国ソウルにある烏山空軍基地に到着しました。バイデン大統領はIPEF(インド太平洋経済枠組み)を立ち上げるべく東京へ向かうついでに、在韓米軍を慰問することが目的でした。尹錫悦大韓民国大統領とも、対中・対北の安全保障について会談を行っています。
過去の通貨危機で2回の経済崩壊を経験している韓国では、当時日本と締結していた通貨スワップを利用する等で経済危機から脱出した点に注目。日米どちらかと通貨スワップ協定を締結してドルを確保し、ウォンを買い支えようと目論んでいました。韓国内では、バイデン大統領の訪韓のタイミングで通貨スワップ協定の締結を要求すべし、という声が強くなっていました。
韓国はもともと日本と通貨スワップ協定を締結していましたが、2013/7/3をもってチェンマイイニシアチブ分以外の30億ドル分の協定が延長されず終了。チェンマイイニシアチブ分の100億ドル分も、2015/2/23をもって延長せずに終了していました。この時、韓国経済を心配した麻生太郎金融担当大臣(当時)が延長する意思を確認したところ、韓国側はかえって無礼を働いてきたために交渉が終了しています。その後も慰安婦問題、自民党二階幹事長の訪韓団への対応、産経新聞ソウル支局長の謎の拘束などがあり、この時点で日本側が通貨スワップ協定の再開に応じる可能性は皆無になっていました。
日本との通貨スワップ協定という安全弁をなくした韓国は、バイデン大統領から通貨スワップ協定の確約を取り付けようと躍起になりますが、もとより訪韓の予定にない合意などが成立するはずもなく、この試みは不調に終わります。但し会談後のプレリリースに「米韓で為替市場の安定について協力する」という一文をねじ込むことに成功できたため、韓国国内から突き上げられた際に「為替市場の安定ということは、つまり通貨スワップを締結するということだ」と合弁して回避するようになりました。