立憲民主党が3補選を取る形で終わった衆院補選ですが、なるべくしてなった選挙区もあれば、意外な形に終わった選挙区もあります。
まあ、これだけ自民ネガキャンやったら騙される奴もいるよね。
まず長崎は元々議席が減るため自民が立候補せず、世襲・元職の立憲民主が順当に勝利。島根はかつては自民が優勢でしたが、亀井久興の自民離党にともない亀井票が流動。不祥事やネガキャンも重なり、終わってみればなるべくしてなった結果となりました。
東京は自民支持層の動きが焦点でしたが、本来向かうはずだった乙武氏が本人の失態により票を取りこぼし惨敗。それでは自民票は維新に向かうのかと思いきやほとんど向かわず、その多くは棄権、投票した層もなんと須藤元気候補や日本保守党に流れる結果となりました。結果、立憲民主は楽勝、対抗馬と目された維新や乙武は惨敗です。
告示日の4月16日、東陽町駅前での須藤の出陣式には笹川尭の姿があった。
「俺は保守しかやらないから。それに15区は江東区(に根付いた人)から出すべきだ。彼はスポーツマンだし。自民党の党本部にも行って、仁義も切ってきた。しかし、自民党は自分たちで候補も出せないんだから情けないよ」
なるほど、立憲民主党あがりの芸能系左翼だと思っていたら、ちゃんと筋通してたのね。票が集まるのも納得。
それではこれらの議席が今後どうなるかですが、立憲民主が維持するのは厳しいでしょう。まず長崎は選挙区が1つ減るため今後は自民現職と争うことになり、今回のようなボーナスステージは望めません。島根の亀井氏は選挙終盤にも舌禍を起こしており、遅かれ早かれ辞任に追い込まれると思います(その後公選法違反疑惑が勃発)。同様に、東京都の候補も選挙基幹中に過去の失言が次々と発掘されており、やはりそう長くはないと思います。
東京15区
もともと自民の牙城でしたが、細川政権の混乱時にこの選挙区から当選していた柿澤弘治が離党、その後無所属として当選したことで自民はこの選挙区を失いました。この時柿沢とともに自民を離党したのが高市早苗。
その後柿沢の子である柿沢未途と自民木村・秋元、民主党系の東の人が争ってきたものの、自民から出馬し当選した秋元司が不祥事で辞任。これを受けた補選で柿沢が勝利し自民に入党。しかし今度は柿沢が不祥事で辞任し、今回再度の補選となっています。
自民現職の度重なる不祥事にくわえてネガキャンもあり、自民はこの補選での候補者擁立を断念。すると、浮いた自民票を目当てにした維新・日本保守党・参政党等9名が出馬する混戦となりました。
中でも乙武氏は小池百合子都知事の側近として出馬。小池都知事は自民推薦の根回しを行い、乙武本人から要請があれば自民が推薦する段取りができていました。しかし乙武は突如自民批判を行い、自民票が乙武から逃げてしまいました。
このような流れから、自民支持層の多くは棄権。棄権しなかった層は、乙武への拒絶反応から維新に投じるか・・・と思いきや、実際にはその多くがなんと須藤元気氏に流れました。実際には、入るべくして入ったわけですが。他にも日本保守党に流れており、両候補を押し上げる結果となりました。
一方、立憲民主党と争うとみられていた維新は3位に落ち、やはり有力視されていた乙武も下位に沈んでいます。
いやしかし、ここはとにかく須藤元気につきます。芸能から民主党系野党に参加し離党し鞍替え出馬しただけの泡沫だと思っていたら、本来なら敵対するはずの自民党本部にきちんと仁義通して出馬してる。こういうことができる候補は強い。まいりました。
島根1区
自民党・清和会の大物・細田議員の逝去に伴う補選。
自民は細田の後継候補を擁立、対する立民は国民新党などで当選した経験のある亀井亜紀子氏を擁立。故・亀井久興氏を父にもつ等典型的な世襲議員ですが、普段世襲を非難している立憲民主党がなぜか公認しています。
もともと自民が強かった島根ですが、亀井久興以来の保守票が流出しています。そこに故・細田氏個人がうけたネガキャンにくわえ、自民がうけたネガキャンまで重なった状態で、新人候補が元職に挑む構図。その結果、自民は大敗しました。
※なお私は亀井亜紀子氏を亀井静香氏の子と勘違いしており、広島の出身者が島根に鞍替えしても勝てるわけがないと勝手に思い込んでいました。実際は亀井久興氏の子、キングオブ「世襲」でした。
亀井亜紀子氏は選挙終盤で自民党支持者のことを「信者」呼ばわりして炎上。そして選挙終了直後、テレビ朝日により「公選法違反」が報じられてしまいます。
そうした中で力を入れたのが、業界団体へのローラー作戦だった。これまでの街宣車での演説中心の戦い方を変更し、きめ細やかな選挙活動で自民党の組織力に対抗しようとした。
これがもともとどのような記事だったかというと、「戸別訪問」と明記されています。
そうした中で力を入れたのが、有権者への戸別訪問だった。これまでの街宣車での演説中心の戦い方を変更し、一軒一軒有権者の家を訪問。きめ細やかな選挙活動で自民党の組織力に対抗しようとした。
4/29 19:34 の時点で、記事のサイレント修正が行われています。
「戸別訪問」は公選法139違反であり、立憲民主党や亀井亜紀子氏がテレビ朝日に対し抗議を入れていないことから、実際に公選法違反が行われたのではないかと疑われています。
公職選挙法百三十九条
(事前運動、教育者の地位利用、戸別訪問等の制限違反)
第二百三十九条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の禁錮こ又は三十万円以下の罰金に処する。
三 第百三十八条の規定に違反して戸別訪問をした者
亀井亜紀子氏は「ロシアに与し、ウクライナを貶める」2年前のツイートへの批判には即座に反発しましたが、公選法違反の指摘に対しては沈黙を守っています。このことが、公選法違反の疑惑をより強めています。
テレビ朝日は記事を消した後その理由を「誤報」としていますが、立憲民主党番の政治記者が何をもって「戸別訪問」と書いたのか不明です。公党に対して事実無根の公選法違反を報じたのであれば、テレビ朝日および該当記者に相当な処罰が下されるはずですが、今のところ特にありません。
立憲民主党の公選法違反なのか、テレビ朝日のデマ報道なのか、はっきりして頂きたい。
長崎2区
不祥事(扱い)の自民党・谷川弥一議員の辞職に伴う補選。
長崎はもともと、衆院の区割り変更で選挙区が減ることが決定していました。区割り変更は自民に不利な形で決定しており、何事もなければ谷川議員が比例にまわる予定でした。
今回の補選で仮に自民が勝利できたとしても、次の衆院選ではsの候補または他の長崎県議員を比例に回さなければならず、自民はマスゴミのネガティブキャンペーンを押してまでの候補者擁立を見送っています。
自民が候補者を擁立しないことで、元職であり民主党政権の農相の二世である立憲民主候補が有利と目されていたものの、全国展開を狙う維新が「与党票の流入を目論み」対抗馬を擁立。しかし与党支持層の多くは棄権したため得票を伸ばせず、立民が勝利しています。
泉健太代表が公選法違反
長崎のほうでは、立憲民主党・泉健太代表による公選法違反が行われています。
選挙カーの中から演説を行う行為は公選法違反となるのですが、泉健太代表が選挙カーの中から演説する様子を、あろうことか山田勝彦候補が撮影し、ツイッターに投稿しています。
違反行為を行ったのは泉健太代表ですので、党代表が公民権を停止されるのかな。
問題はこれが選挙期間中に行われており、違反である旨がさんざん指摘されたにも関わらず、修正されていない点です。こちらは亀井氏のような「疑い」ではなく、まず確実に公選法違反に問われる事案でしょう。
昨日は立憲民主党 泉健太 代表と東彼杵町を選挙カーで流し遊説。もう変えんば! pic.twitter.com/qoBKoCFz0G
— 山田勝彦 4/28投開票 衆議院長崎3区補選候補者 立憲民主党 (@yamabiko719) 2024年4月21日
昨日は立憲民主党 泉健太 代表と東彼杵町を選挙カーで流し遊説。もう変えんば!
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選挙運動自動車の走行中の演説は、公職選挙法違反です許されるのは、同じ事を繰り返し言う【連呼行為】のみです
『公職選挙法の第141条の3で、「選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない」とした上で、2つの例外をあげています。・自動車の上において選挙運動のための「連呼行為」をすること。
・停止した自動車の上において、選挙運動のために演説すること。つまり、走行中の選挙カーからできるのは、「連呼行為」だけ、つまり「同じことを繰り返し言うこと」しかできないのです』
nhk.or.jp/politics/artic…tokai-tv.com/tokainews/feat…
公職選挙法
elaws.e-gov.go.jp/document?lawid…
役に立ちましたか?
(自動車、船舶及び拡声機の使用)
(車上の選挙運動の禁止)
第百四十一条の三 何人も、第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない。ただし、停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること及び第百四十条の二第一項ただし書の規定により自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない。
杉尾秀哉氏の公選法違反疑惑
立憲民主党の杉尾秀哉議員。彼も当然のように公選法違反を行ったはずですが、問題のツイートをこっそり削除しています。
この問題を、「立憲民主党・岡田克也新聞」である中日新聞が報じているのが興味深いところ。
16日告示、28日投開票の衆院3補選に絡み、立憲民主党の杉尾秀哉参院議員のSNS投稿が物議を醸している。
同党の杉尾議員、辻元清美代表代行、大串博志衆院議員は6日、立候補予定者の顔写真と名前と選挙区、告示日と投開票日が入った画像を、自身のX(旧ツイッター)に投稿。杉尾議員は「岸田政権に国民のNOを!4月28日の3補選、よろしくお願いします!」との文言を投稿した。
これに対し、Xでは「事前運動じゃね?」「公職選挙法違反ですよね」などの指摘が相次いだ。
その後、同日午後9時前までに、杉尾議員の投稿は削除されたとみられ、現在は表示されない。投票の呼びかけと捉えられる文言がない辻元代表代行、大串議員の投稿は、今のところ削除などの対応はない。
政権交代の可能性
まず政権交代の可能性についてですが、結論から言えば「無い」でしょう。
今回の補選はマスコミによる自民ネガティブキャンペーンがあり、そもそも3補選のうち2つは自民元職の不祥事によるもので候補者すら擁立していません。島根も細田元議員が叩かれていた上、保守地盤とはいえ亀井家票が流動しやすい選挙区でした。
従って、今回の補選は今後の選挙を占う材料とはなりません。
そして自民がネガキャンされたところで取ってかわる野党は無く、ほぼ対抗馬がいない状態で立憲民主が3う取ったところで、今後同じように楽勝することはまずないでしょう。
くわえて今回無条件で票をまわしてくれた共産党が見返り(次の選挙では、立憲民主が候補者を下ろせ)を要求しており、立憲民主は議席を増やす前に候補者をどれだけ伸ばせるか不明です。
但し野党第一党の座をうかがうと思われていた維新が予想外に伸びず、維新との票の取り合いはさほど起きなさそうです。
立憲民主党ははっきり言って自民の失策とマスコミによるネガティブキャンペーンのおかげで実力不相応にも関わらず勝てただけなのですが、泉鮮太氏は相変わらず間の抜けた発言を繰り返しています。
この辺、野田佳彦氏あたりは3勝できた要因を分析できているのですが、なまじ3つ勝ててしまったため、立憲民主党は次期代表を泉氏に据え置いたまま衆院選に突入するものと思います。
結論
3補選の結果としては立憲民主が取ったものの、1人は過去の問題発言が発掘され、1人は選挙期間中から舌禍を起こしておりその後公選法違反の指摘まで発生。残る1選挙区も選挙区統廃合で議席が減ります。自民不在というボーナスステージも終わるため、1議席を維持するのも困難でしょう。
この辺に気がついている立憲民主重鎮もいるものの、肝心の泉氏が浮かれているので、大した勢力にはならないと思います。
日本保守党は自民候補不在の恩恵をもっとも多く受けた1つであり、自民支持層が本来の自民候補に戻った状態でどれだけの票を得られるかは未知数です。戦い方が下品でもあり、いったん流れた自民支持層をとどまらせることはまずできないと思います。
一方、やはり自民不在の恩恵を受けた須藤元気候補。彼はきちんと仁義を通した上で出馬しており、相当数の有権者をつかんだものと思います。こういう人物をれいわ新選組などに流してしまうのは勿体ないので、自民党ははやいうちに囲い込んでしまうべきです。
東京15区補選で気になること
もともと国民民主党は独自候補を擁立し、立憲民主党に支援を要請していました。ところがこの候補に「法令違反の疑いがある」として出馬辞退となります。その後都ファが乙武氏を擁立しますが、「自民党が乙武氏を支援した場合、国民民主は支援しない」と宣言。
もし乙武陣営が自民に支援を依頼した場合、国民民主はおそらく立憲民主候補を支援していたものと思います。実際には乙武本人が自民に喧嘩を売ったことでご破算となり、国民民主が乙武支援を決めています。
この流れを見ると、国民民主と立憲民主が協力する可能性のあるタイミングが2回あり、2回とも破綻したことがわかります。