韓国が「通貨スワップ」でトルコに7.8億ドル提供
韓国がウォン防衛に使う米ドルを確保するため米韓スワップ(それに準じる形で日韓スワップも)を締結したがっていること、それほどまでに外貨準備(米ドル)が不足しているにも関わらず、韓国銀行は韓国年金(機構)に対し「デリバティブ取引の通貨スワップ」により、むしろ外貨準備米ドルを供出していることは以前書いた通りです。
それでは肝心な「米ドルの調達の目処」は立っているのかという問題は何も解決しておらず、韓国マスコミは何かにつけて米韓通貨スワップや日韓通貨スワップの必要性を連呼。韓国政府が明日にも締結されそうな発言をしては、すべて否定されるということが繰り返されています。
また2022/04/01に就任した韓国銀行の李昌鏞(よう)総裁はIMF(国際通貨基金)アジア太平洋局長だった人物ですが、韓国を救済する立場の組織のトップだっただけあり、この人は韓国経済や各通貨スワップ締結の困難度合いを理解しています。
ただ韓国政府も韓国民も李総裁の懸念など気にするでもなく、相変わらず極端な楽観論を繰り返しています。そんな折、10/12にワシントンでの記者会見に応じた秋慶鎬韓国経済副首相からあらためて「サプライズ発表(通貨スワップ締結)はないはず」発言しています。発表を行う(かもしれなかった)主体は、話の流れからすると韓国銀行だと思います。「通貨スワップに関してはもうこれ以上話すことはない」と切り捨てるおまけ付きです。
(韓国はスワップ取引でトルコ中央銀行に7億8000万ドルを送金-銀行家)
米韓通貨スワップが絶望的で米ドルの確保の目処が立たない中、韓国銀行は先の年金(基金)にくわえて今度はトルコに対し、外貨準備中の米ドルを供出することになってしまいました。
韓国銀行は2021年にトルコ銀行と「通貨スワップ」を締結しています。トルコリラは韓国ウォンよりはるかに弱いはずで、トルコを助けることはあっても韓国が助けられるものではない、しかも韓国にはトルコを助ける余裕はない、実は韓国企業がトルコ企業との取引(軍需とか)で損失を出さないよう「為替スワップ」のほうを締結したのではないか?と思っていたのですが、通貨スワップのほうのようです。
この韓国トルコ間の通貨スワップにより、トルコは韓国銀行から7.8億ドル(相当)の韓国ウォンを入手しました。トルコが韓国ウォンを入手してもそのままでは基本的には使用できないので、ウォンを売ってドルを買い、為替介入や第三国への支払いに充てることになります。あるいは可能性として、韓国からの輸入で決済通貨としてウォンを使用しているかも知れません。但し決済通貨はだいたいハードカレンシーで行われるため、こちらの可能性はほぼ無いと思います。
問題は「ウォン売りドル買い」オペが入ることで、これにより韓国ウォンがさらに下落します。さすがに韓国銀行から米ドルが直接供出された可能性は無いと思いますが、もしこれが行われた場合、当然韓国の外貨準備から米ドルが減少し、しかも米国が現在インフレ対策としてドルの流通量をしぼっている時に、韓国が勝手にドルを市場に流通させてしまうという非常にまずい展開ということになります。
日本が各国と締結している通貨スワップでは供出する通貨が明示されている(といっても殆どは日本円)のですが、この韓国トルコ間の通貨スワップでは明示された資料を個人的に見つけられておらず、米ドルが直接的に供出された可能性も否定できません。そんなことはありえないと思いますが、ありえない事が起こってしまうのが韓国なので油断できません。