本家いなてい

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日本ブログ村の政治ブログ・民進党(旧民主党・旧維新の党)で常時1位の誉れ高いブログ(なおエントリー数は2ブログ)

8/6追記:日本が日韓通貨スワップ協定を再締結した理由がわかったお話→だと思ったか

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自民党の中でもハト派と目されていた岸田文雄首相が就任してから1年、意外にも安倍晋三元首相をも凌駕する鷹派的な政策が繰り広げられ、保守層の中からもようやく岸田支持の声を見かけるようになった、2023年6月。

 

岸田首相は対韓国で2つの大きな「失態」を見せてしまいます。すなわち輸出管理におけるグループA(いわゆるホワイト国)再指定と、日韓通貨スワップ協定の再締結です。

 

どちらも韓国に多大な恩恵がある一方で、日本には特にメリットの無いものと考えられています。前者は韓国に輸出している企業が手続きを簡素化できるメリットはあるのですが、通貨スワップ協定では日本がローカル通貨である韓国ウォンを借りる意味は無いためです。米国と無期限無制限の円-米ドルスワップ協定を締結していますし。

 

 

 

ちょいと注釈

 

いわゆる「通貨スワップ」と言われているものと「為替スワップ」と言われているものはそれぞれ2種類あります。

 

詳しく見ていくと訳がわからなくなるのですが、「通貨スワップ」と言われるものには民間が行うデリバティブ取引としての「通貨スワップ(CCS: Cross Currency Swap)」と、国家の中央銀行同士で通貨を融通する「通貨スワップ協定(BSA: Bilateral Currency Swap Agreement )」があります。

 

ここでは日本銀行と韓国銀行間で締結した協定を扱っていますので、後者の BSA のお話になります。そして記事としては後者関連(特に日韓通貨スワップ協定)が圧倒的に多いのですが、用語説明としては前者のものばかりのため、調べても訳がわからなくなる原因となっています。

 

なお通貨スワップと間違えやすい為替スワップも、デリバティブ(Foreign Exchange Swap) と中央銀行(BLA: Bilateral Liquidity Swap Agreement)という別物が存在します。

 

 


日本が韓国と通貨スワップ協定を再締結した理由

 

この韓国のホワイト国再指定と通貨スワップ協定再締結は自民党支持層から大変不評で、岸田内閣の支持率を一気に下落させるのに充分なものでした。

 

不思議なのは、足元の自民党支持層から一気に支持率を落としてしまうこれら2つの政策を、なぜ岸田内閣が敢えて行ったのかということです。この理由はほぼ理解されておらず、米国からの圧力だとか岸田が韓国に騙されたとか、その程度のゴシップしか出ていませんでした。

 

しかし今回、韓国ハンギョレ新聞から納得のいく記事が出ていましたので、ここに引用します。

 

一言でいうと、韓国が日本円を引き出すと担保として(韓国ウォンではなく)米ドルが入ってくる、ということです。

 

仮に韓国が日本円を引き出してそのまま返済しなかった場合、日本にはローカル通過に過ぎない韓国ウォンではなく、基軸通貨の米ドルが残ります。

 

 


再締結された日韓通貨スワップ協定は、「ドルスワップ方式」

 

news.yahoo.co.jp

 

 韓国と日本は先月29日、通貨スワップを結んだ。両国の外交関係が修復され、8年ぶりに通貨スワップ協定が進められた。ただ、今回の韓日通貨スワップは「ドルスワップ」方式で結ばれた。一般的な通貨スワップは、当該国の通貨を直接交換するが、「ドルスワップ」はドルを媒介に進められる。もし韓国がウォンを貸す場合は日本はドルを提供し、日本が円を貸す場合には韓国がドルを提供することになる。

 

 かつて日韓通貨スワップ協定は、韓国が日本からドルを引き出す形で行われたことがありました。韓国としては日本円を借りても対日本の貿易での支払いに使うことがメインになりますが、ドルであれば世界中の相手との決済で使えます。

 
 逆に日本は外貨準備中の米ドルを使うことになりますが、これをやると韓国が日本から大量の米ドルを引き出すため米ドルの流通量が増え、ドル安を進行させる弊害があります。それで米国から「おいふざけるな」とクレームが入り、結局日本円を貸し出す通常のスワップ協定に落ち着いています。

 

 今回の「ドルスワップ」というのもそれと同じかと思っていたのですが、ハンギョレ記事によるとどうやらなようです。つまり、韓国が日本円を借りた時に日本が受け取る担保が、韓国ウォンではなく米ドルになります。

 

 

 

 日本としては、ローカル通貨の韓国ウォンを担保にされてもうれしくないのですが、基軸通貨の米ドルが貰えるとなると話は別です。逆にもし日本が韓国ウォンを借りる場合は米ドルを担保にしますが、借りなきゃいいだけなのでOK。

 

 逆に、韓国視点では不自然な協定です。なぜなら韓国としては、韓国ウォンが下落した際に米ドルを売って韓国ウォンを買い支えたい、つまり日本から日本円を手に入れて米ドルに変え(円安ドル高になる)、その米ドルで韓国ウォンを買う(ウォン高ドル安になる)というオペレーションを行いたいであろうからです。

 

 せっかく日本から日本円を入手したところで、担保として米ドルを日本に渡しては本末転倒です。

 

とにかく、韓国が日本円を引き出せばその分米ドルが入ってくるので、日本にとって悪い話ではなさそうです。

 

 

 

とはいえ、ハンギョレの記事も後半は謎だ

 

 ドルスワップは、こうした状況で日本が円相場の安定を誘導できる一つの保険になりうる。日本が韓国に円を貸してドルを受け取ることになれば、日本国内のドル供給が多くなるとともに円供給が減り、円安傾向が制御されるためだ。もちろん、今年6月に集計された日本の外貨準備高は1254兆ドルと十分な水準であり、経常収支も黒字を記録しているため、短期的にはスワップ契約を履行する可能性は低い。ただ、外国為替市場が極端なストレスを受ける場合、ドルスワップは円防御のための保険になりうる。

 

ここは何度読み返しても???でした。韓国が日本円を引き出せば日本円の流通量が増えるため、円安が発生します(但しかわりに米ドルを受け取るので、ドル円の変動幅はお察し)。

 

恐らくそういう意味で、「韓国が日本円を引き出しても、対ドルだけで言えば、同じだけ米ドルも流通するので変動しないよ」と言いたいのかもしれません。

 

その後も意味不明で、日本は外貨準備が充分だから通貨スワップ協定を履行する可能性が低い・・・の箇所はどうやっても読み解けません。現実問題として日本が韓国から借り入れることはまずありませんが、仮に借り入れる場合、その通貨は韓国ウォン。かわりに米ドルを渡すことになります。

 

逆に韓国が日本円を引き出す場合は日本に米ドルを渡しますが、これは韓国の意思で行われるため日本の外貨準備に米ドルが充分にあろうがなかろうが関係ありません。

これは一体どう読み解けばいいのか・・・?

 

 

 

まとめ:たぶん日本にとって有利

 

日本側のマスコミは通貨スワップ協定についてまともに報じず、お花畑的な「日韓友好!」みたいなくっそどうでもいい話にすり替えてしまっています。

 

この韓国のハンギョレ記事はどうにも読み解けない謎な箇所も多々ありますが、日本のマスコミと比べればまあまともに報じているなと思います。

 

知識不足や記事の恣意的な誘導もあると思いますが、現在見えている限りでは、おそらく(ウォンを借りる必用がないので)日本にとってメリットはあってもデメリットは無い協定ではないかと思います。


では実際にこの通貨スワップ協定が発動するのはどのようなケースがあるのかというと、日本としては韓国ウォンをわざわざ借り受ける場面は特にありません。

 

韓国の場合、日韓間の取引を日本円で行うケースが多々あるため、主に対日取引の際に円が不足していれば発動するでしょう。但し担保が米ドルなので、外貨準備中に米ドルが多く日本円が不足している、といったケースに限られると思います。

 

実際に使われる例としては、たとえば日本企業と取引のある韓国企業で日本円が不足し代金を支払えないケースです。ここで韓国ウォンがあれば、韓国ウォンを韓国銀行に渡して日本円を受け取り、決済に使う。ここで韓国銀行の日本円が足りなくなった場合、通貨スワップ協定に従い韓国は日本円を引き出し、担保として、韓国ウォンではなく米ドルを差し出すような形です。

 

なので実際に発動する場面は多くはなく、そうなると実務的な意味合いより、(米ドルの利用を許可した)米国と日韓の連携を示す文字通りセレモニー的な意味合いが強いのかな、と思います。

 

 

 

8/6追記:前回のハンギョレ記事は、いつもの「朝鮮デマ」だったか?

 

www.asahi.com

 

金融危機などによって韓国が要請すれば日本の持つ米ドルと韓国のウォンを、日本が要請すれば韓国の持つ米ドルと日本の円を、それぞれ交換する仕組みだ。

 

朝日新聞の報道によると、韓国が「日本の外貨準備から米ドルを引き出して何の価値もない韓国ウォンを日本に担保として差し出す」という、いつものクソ協定とのことです。

 

しかし、こっちでなければ韓国にとっては締結する意味はない(そもそも日本にとってはどっちにしろメリットが無い)ので、やはり朝日新聞の報道のほうが正しいんでしょうねえ・・・