韓国銀行、「通貨スワップ」を締結!
韓国銀行が、「通貨スワップを締結する」との一方が、韓国コリアエコノミクスデイリーから伝わってきました。
タイトルを見てびっくりされた方も多いと思いますが、内容を確認すると、まず通貨スワップを締結する主体が韓国銀行と韓国国民年金(機構)です。そして締結する理由は、「韓国国民年金が直接ドルを買い入れる需要を減らし、ウォン·ドル為替レートの上昇圧力を下げるため」となっています。
韓国の年金(機構)も資産運用として外国株式や債券を取り扱っているはずですが、先日遂に1ドル=1400ウォンを突破したとおり、ウォンが急激に下落しています。外国債券などを買い入れる値段は為替差によりどんどん上がっています。そこで韓国銀行が韓国国民年金(基金)に外貨準備のドルを貸し出し、これを使用することで為替差損を抑え込もうというお話のようです。
いわゆる「スワップ」には大まかに4種類存在し、実態は異なるのに同じ用語を用いるため混同しやすく、或いは韓国政府のようにミスリード目的で意図的に単語をすり替えて発表する事までありますので、注意が必要です。スワップの種別は、エクストリーム経済大国・韓国・通貨スワップ6に書いた通りです。あらためて整理すると、
- デリバティブ取引の、通貨スワップ ←このニュースの「通貨スワップ」
- デリバティブ取引の、為替スワップ
- 国際金融協力目的の、通貨スワップ ←韓国が日米と締結したいのはこれ
- 国際金融協力目的の、為替スワップ ←米国が韓国含む5カ国と締結していたのはこれ
まとめると、このニュースで言う「通貨スワップ」は「デリバティブ取引の通貨スワップ」のことで、その目的は年金基金の損失を抑えること。一方、韓国が常日頃から騒いでいる「通貨スワップ」は米FRBや日銀との通貨スワップのことで、通貨安に対する備え(最悪、為替介入の手玉)とすることが目的になります。
言い換えると、韓国が本来必要としている「国際金融としてのドルウォン通貨スワップ」では米FRBから韓銀にドルが貸し出されるのに対し、今回の「デリバティブの通貨スワップ」では韓銀が年金(基金)にドルを貸し出します。後者はむしろ、韓銀の持つドル(=外貨準備)を一時的に減らします。
なので、このニュースで言うところの通貨スワップが締結されたところで、韓国ウォンの防衛に使えるものではありません。但し韓国発のニュースであり、そもそも全く異なるお話をしているのかも知れません(そうでないと、いろいろおかしい点があるし)。少し様子をみる必要があります。
10/05補足:年金を直接溶かすものではたぶんありません
この「通貨スワップ」をもって「韓国の年金が溶ける」と表現している声が5chなどで見受けられますが、これは直接年金を溶かすような方策ではありません。
年金で外国債を購入して運用したいけど、韓国人から支払われた年金料はウォン払い。一旦ウォンを米ドルに転換する必要がありますが、これは韓国ウォンを売って米国ドルを買う動きなので、より一層韓国ウォンを下落させる要因になります。
そこで韓国銀行が年金(基金)に韓国ウォンを担保に米国ドルを一定期間貸出し、年金(基金)は手に入れた米ドルで米国債を買って運用する、といったことをやっているのではないかと思います。
なので、韓国の年金は直接はダメージを受けません。勿論運用に失敗すれば、当然損失を出します。逆に韓国銀行は、一時的にせよ外貨準備中の米ドルが減少します。もともと夏場頃のペースで為替介入しても残り1年は持つ程度のドルがあったはずなので、韓国の外貨準備が今すぐダメージを受けるものでもありません。年金(基金)からきちんと返却されるかは知りませんが。