本家いなてい

本家いなてい

日本ブログ村の政治ブログ・民進党(旧民主党・旧維新の党)で常時1位の誉れ高いブログ(なおエントリー数は2ブログ)

【エンタメ通貨】韓国ウォンの暴落が止まらない

株の大暴落の写真

 

年明け以来いままでの半年ほどの間、韓国ウォンの暴落がとどまるところを知りません。

 

新型コロナによる行動制限が解除されたことで、コンテナ船が不足。原油の需要が急増して原油高。そうこうしているうちにロシアによるウクライナ侵略で、燃料にくわえ食料その他が不足。中国の石炭規制による尿素水不足で、トラックの運用が困難になり、上海などのロックダウンにより輸出が激減。

 

といったことが次から次へと発生しているのですが、韓国の場合はそれらすべてがことごとく致命傷になっています。

 

 

インフレの要因

 

原油高やコンテナ船不足による物流の停滞は、物不足によるインフレを引き起こします。オカネは出回っているのにモノが満足に出回らないので、物価が高くなるのです。

 

物価が高くなるということは、言い換えればオカネの価値が下がるという意味です。オカネの価値は変動します。

 

原油高やコンテナ船不足、ウクライナ侵略などは世界共通の問題ですから、当然日本でもインフレが発生していますし、米国でも発生しています。とはいえ、日本ではなぜかインフレ率が2.5%程度と通常の値上げに毛が生えた程度なのですが。

 

とにもかくにも世界ではいろいろとインフレを誘発する問題が多発している状態で、物価が高くなっていくと政府与党の支持率が激減したり暴動が起こったりします。

 

 

 

韓国ウォンはエンタメ通貨

 

世界の通貨の中でドルは基軸通貨とされ、もっとも信頼を得ています。各国の通貨の価値も、だいたいドルと比較して決まります。

 

続いて日本円、英国ポンド、EUユーロ、スイスフランがハードカレンシーとされ、ドルに次ぐ程度の信頼を得ています。次点が豪ドル、加ドルなど。

 

いきなり基軸通貨だのハードカレンシーだのと関係なさそうな事を書きましたが、要するにこれらの通貨は信用のある通貨。信頼性が高い通貨です。

 

貯蓄にしても取引にしても、これらの通貨であれば極端に価値が下がったりしないであろう、という安全資産とみなされます。利息は少ないかもしれないけど、持っておけば安心だよね。

 

ところが韓国ウォンはハードカレンシーのような信用がありませんので、これらの通貨と同じ利息だと「リスクは高いのに利息もしょぼい」ということになり、誰も買ってくれません。そこで米ドルより高い利率(利息)を設定し、投資家に買ってもらいやすっくしています。

 

とはいえこれは、米国が利率をあげると崩壊するなど、他国の政策の影響をもろに受けてしまうということでもあります。

 

この世界的なインフレの中、米国の政策のあおりを食らい、韓国ウォンはどんどん値下がりします。人はこれを、エンタメ通貨と呼んでいます。

 

 

 

韓国ウォンの適正レート

 

韓国という国は、資源や部材を輸入してアセンブルし、輸出した貿易差益で稼がなければならない国です。

 

輸出で稼ぐなんて当たり前だろう、と思うなかれ。日本の国内企業などは国内の製品需要も発生するため内需も充分あり、過去の海外投資が実って収益を得ていたりします。

 

韓国にはそれが無いので、輸出に頼らなければなりません。

 

ところが燃料代が高騰している上に、韓国には基礎技術があまりありません。つまり国外である程度作り込まれた部材を、それなりの価格で輸入して国内でアセンブルし、輸出しなければなりません。初期コストが高いのです。

 

ウォン高だと韓国からの輸出製品が値上がりしてしまい、他の国との競争で不利になる。ところが、ウォン安だと燃料や部材の輸入コストが膨れ上がる。

 

基礎技術のあまりない産業構造のせいで、韓国ウォンの適正レートはおおよし 1050KRW/USD - 1150KRW/USD の範囲と狭くなっています。

 

ところが、現在は米国もインフレに対処する必要があり、FRBが利上げを行っています。銀行からオカネを借りた時の利息を上げることで借りづらくし、オカネの流通量を減らすことでオカネの価値を高くして物価を下げましょう、ということです。

 

利上げには他に、借金の利息を増やしてしまう効果と、ドル預金の利息を殖やす効果などがあります。前者は後で出てきますが、一旦「へーそうなんだ」程度で流してください。

 

とにかく、米国がインフレ対策で利率を上げる。今のところインフレを抑えこめてはいないけど、本来もっと過激に物価が急上昇したはずのところを抑え込んでいる。そして、ドルを持っていれば利息がつくので、投資家はドルを買い集める。このため、ドルの価値があがります。

 

ドルの価値があがるということは、他の通貨は対ドルで価値が下がります。日本の円安もこの影響ですが、円安だと資源などの輸入コストがかさむ一方、輸出製品を安く売れるので輸出で有利になります。日本はインフレ率もそれほど高くないので、日本銀行は今のところ円安を放置しています。

 

ところが、韓国はこうはいきません。

 

先程韓国ウォンの適正レートを 1050KRW/USD - 1150KRW/USD と書きましたが、米国 FRB の利上げの影響で年明け後しばらくしてから 1200KRW/USD を突破したままです。

 

つまり韓国でも「輸入は厳しい、輸出は儲かる」はずなのですが、輸出製品の競合する日本円より安くなっているため輸出競争で負け、通貨安のデメリットだけを食らっています。

 

 

 

韓国銀行、利上げを実行

 

さてとにかく、韓国は輸入物価を下げたい。特に燃料価格を下げたい。物価高騰の原因は多々あれど、その中で韓国政府が自ら対策できるものといえば、通貨安対策です。韓国ウォンを対ドルで高くすれば、その分輸入コストがやすくなる・・・

 

ではどうするか。簡単な話で、韓国ウォンの利率を米ドルより高く設定すればいいのです。韓国ウォンはリスク資産ですが、より多くの利息を得られるのであれば、貯蓄をウォン建てに変える人が出てくるかも知れません。

 

実は6月に利上げしているのですが、間髪入れずに米国がドルの利上げを行ってしまったため、ウォン安対策になりませんでした。

 

そして7/13、韓国銀行は再度利上げを決定しました。0.5%の利上げ幅で、これは韓国としては異例とのこと。

 

www.asahi.com

 

さて。

 

韓国ウォンは弱小通貨です。そんな通貨に外国投資家を呼び込むには、ドルよりも大きな利上げを行い、より多くの利息を投資家に提供できる状態でなければなりません。

 

同程度の利息しか得られないのであれば、より安全なドルに投資家が逃げてしまいます。

 

しかしこの日までに、どうも米FRBは0.75%程度の利上げをするんじゃないか?という観測が出ていました。

 

つまり韓国は、最低でも1.00%以上の利上げを断行しなければ投資家に逃げられてしまうのではないか。なぜ、0,5%程度のしょぼい利上げにとどめてしまったのか。

 

その理由は、国民の借金にあります。

 

韓国では国民が借金をして投資を行うことが横行しており、しかもその金利を変動金利で契約しています。つまり借金を抱えている人が多い上に、その借金の利息が利上げによって激増してしまう。

 

韓国ウォンが下がれば国家が破綻、しかし利率を上げれば国民の借金が激増する、という状態なので、中途半端な利上げになってしまったのだと思います。

 

 

 

米国の消費者物価指数9.1%

 

ところがこの日、韓国の利上げ直後に米国から衝撃のニュースが入ってきました。

 

www3.nhk.or.jp

 

米国の消費者物価指数が9.1%、つまり物価が前年の6月に比べ、今年の6月は9.1%も上昇しているということです。

 

つまり米国が6月に利上げしたにもかかわらず、インフレは更に進んでしまいました。このため、7月の利上げは0.75%どころか、1.00%に達するのではないかという予想を出す人が増えています。

 

 

 

利上げしたけどデメリットしかなかった韓国

 

韓国は13日に0.5%の利上げを決定しましたが、米FRBが0.75~1.00%の利上げを行うことが確定してしまったことで、韓国ウォンは値上がりするどころか更に値を下げています。

 

7/14 16:00時点で、1315KRW/USD にまで到達。

 

通貨安を止めることはできませんでしたが、国民の借金は確実に膨れ上がっています。この状態で、韓国銀行ははたしてさらなる利上げを断行できるのか・・・?

 

いや、断行したところでどうにかできるのか・・・?

 

 

 

為替介入と通貨スワップ

 

さて通貨が度を超えて変動した場合、外貨準備として保有しているドルで自国通貨を買ったり、逆に自国通貨を売ってドルを買う動きを中央銀行が行うことがあります。

 

いわゆる為替介入ですが、これは市場原理を人為的に操作する行為ですので、禁じ手とされています。まったくやらない、という訳にもいきませんが、バレないようにコッソリやるとかちょっと後ろめたいあの感覚です。

 

まあ、韓国はどういう訳か「ドル売り介入して外貨準備減っちゃったてへべろ」とか聞いてもいないのに暴露しちゃってるのですが。

 

ということで、為替介入でドルを使うと、外貨準備のドルがなくなります。証券も売ってドルにして使いますが、米国債を売ってドルも売って・・・となると、米国がせっかく利上げしてインフレ対策をしているのに、ドルを余らせてインフレを加速させてしまいます。

 

なので、19日のイエレン長官の訪韓時、これが問題視されるのではないかと予想されています。韓国では、なぜか「米韓通貨スワップが締結される!」という、虫のいい話になっていますが。

 

通貨スワップは、自国通貨を担保にして相手国通貨を借り入れる制度で、韓国の場合は米韓通貨スワップと日韓通貨スワップを締結したがっています。

 

米韓スワップは、ドルを入手して為替介入に使用するため。日韓スワップは、円を入手してドルに変えて為替介入をする、また日本からの輸入で使うなどの目的です。

 

しかし為替介入は本来禁じ手であり、しかも米国からドルを調達してウォン買いをやられると、先に書いた通り米国のインフレを加速させてしまいます。一方、米国側には何のメリットもありません。

 

米韓通貨スワップは、あり得ないでしょう。

 

もう1つの日韓通貨スワップはどうかというと、これもあり得ません。やはり日本にとって何らメリットが無いことと、それ以前に韓国は日本との国家間合意を何一つ守っていません。まずは、約束を守るという基本的なところができないとどうしようもないと思います。

 

約束が守れるようになってから、ようやく「自分のことばかりではなく相手のことも考えろ」と言う話になるのですが・・・