日本の国防方針を定める、いわゆる「安全保障3文書」が閣議決定されました。
「3文書」とは、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の3つです。
いままでのあらすじ
北朝鮮が恒常的に日本上空等へ弾道弾を飛ばし続け、近代国家がむやみに侵略することはないと思われていた矢先のロシアによるウクライナ侵略。
なにより中国の急激な軍拡と周辺国に対する剥き出しの野心のすべてと対峙しなければならない日本にとって、国防強化は急務でした。しかし謎のGDP1%枠を律儀に守り続けた結果、この整備は致命的に遅延。日本の国防の弱体化が、周辺国の安全保障にも悪影響を与える事態に陥っていました。
2022年2月末からウクライナがロシアに侵攻されたことにより、国防予算2%枠を定義していながら予算確保の遅れていたNATO諸国が軒並み国防強化を表明。NATOのグローバルパートナー国であり、G7で唯一 NATO非加盟国である日本も、同時に2%枠へ向けて動きだすことになりました。
しかし岸田文雄首相が国防予算の捻出源として増税に言及したところ、高市早苗経済安保相がマスコミに向けて猛烈な批判を展開。マスコミがこれを利用し論点を増税問題にすり替えてしまった上、その状況においてもなお高市大臣は増税批判を展開。
このまま国防予算確保の機運はしぼみ、今後日本は二度と国防を強化できず、侵略されても敵のなすがままになってしまうのか、という事態に陥りました。
“安全保障3文書”閣議決定
政府は、臨時閣議で「国家安全保障戦略」など3つの文書を決定しました。敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、日本の安全保障政策の大きな転換となります。
岸田文雄首相は自民党内でもハト派とされており、岸田政権下で国防強化が実現する可能性は著しく少ないと見られていました。ロシアによるウクライナ侵略を受けてのこととはいえ、安倍政権ですらなし得なかった国防強化が閣議決定されたことは驚きです。
岸田文雄首相は16日、首相官邸で記者会見した。閣議決定した国家安全保障戦略など防衛3文書について説明した。
今回の閣議決定をうけて、岸田首相は記者会見を実施。おそらく、財源を増税でまかなうことから敢えて自ら表に立って意思表明したということだと思います。
※繰り返しますが、私個人としてはあくまでも国債発行を主体とすべきだと思います。国防は、将来世代まで必要となるものですので。
課税項目は、法人税、所得税、たばこ税の3種。うち家計に打撃を与えるのは所得税増税ですが、復興所得税の税率を下げることにより、年毎の課税額を抑制するようです。復興所得税は、課税期間を延ばすことで総額を確保することになります。
課税開始時期は、「さらに与党で議論を続け、来年決定する」ということで、今のところ未定です。
高市大臣「非常に有り難い」←???
防衛費増額の財源をめぐり与党が増税時期の決定は先送りする形で決着させたことについて、高市経済安保担当大臣は、「来年また議論ができることは非常にありがたい」と歓迎しました。
今回の閣議決定と首相会見の後、いままで強行に反対していた高市大臣が突如発言を替えました。
課税開始時期が確定しなかった、というだけで歓迎したのか?それとも、増税説明時に「皆さんにお願いする」としていたのを「我々」に替えただけで歓迎するに至ったのか?
高市大臣の反応はちょっと理解に苦しむのですが、最低限、国防議論を増税議論にすり替えられてしまうような言動は謹んでいただきたいものです。
おまけ:ミサイルが飛んできても「反撃しない」ことこそが日本の抑止力だ
この件に絡み、大炎上を起こしているのが Newweek のこの記事です。
タイトルからして「日本は攻め込まれても反撃するな!」と言っているように見え、いやいや流石にミスリードだろう、或いは過激なタイトルで集客して何か奇抜なことを書いているのだろう、と思って読んでみたら本当に「無抵抗になれ」って書いてありました。
この記事は記名記事なので誰が書いたかもわかるのですが、藤崎剛人なる愉快な人物です。この人の名前と「スイミー」とか「宇崎ちゃん」とか「トリチウム」で検索すると、下手なバラエティ番組よりよほど笑えますよ。超おすすめ!