兵庫県の斎藤元彦知事に関する疑惑を巡り、日本維新の会の兵庫県議である増山誠氏と岸口実氏が、NHKから国民を守る党(N党)の立花孝志党首に情報を提供したことが問題となりました。この問題は、地方政治における情報公開のあり方や、政治家の責任について深く考えさせられる事例です。
増山誠県議による情報提供
増山氏は、2024年10月に行われた百条委員会(調査特別委員会)の非公開録音データを立花氏に提供したことを認めました。このデータは、片山安孝前副知事の証人尋問に関するもので、元県民局長の私的文書に言及した部分が含まれていました。
増山氏は、この情報が県民に知らされないまま知事選が行われることに強い懸念を抱き、立花氏の発信力に期待してデータを提供したと説明しています。彼は「県民が事実を知るべきと思った」とも述べています。
しかし、この行為は百条委の総意に反するルール違反であると批判されています。増山氏自身も「ルールを破った」と認めています。
問題発覚後、増山氏は日本維新の会に離党届を提出しました。
また、立花氏から次期参院選への出馬を打診されていることを認めましたが、回答は保留しています。
岸口実県議による情報提供
文書提供への関与: 岸口氏は、2024年11月1日に立花氏と面会し、斎藤知事の疑惑を追及していた竹内英明元県議を「黒幕」と名指しする文書を渡したとされる問題に関与しました。
岸口氏は、文書を手渡したことについて否定はしていませんが、「大変軽率だった」と述べています。
この文書が元で、立花氏がSNSで竹内氏を中傷し、竹内氏が亡くなる一因になったとされています。
今後の進退について、岸口氏は、党からの処分をふまえて判断すると述べています。
百条委員会の情報漏洩問題
百条委員会とは: 百条委員会は、地方自治法に基づいて議会に強い調査権限を与えられたもので、「伝家の宝刀」とも呼ばれます。
今回の問題は、非公開の委員会情報が外部に漏洩したことで、百条委員会の信頼を損なう行為であると批判されています。特に、秘密会の議事の情報漏洩は会議規則で禁じられています。
日本維新の会の対応
日本維新の会の吉村洋文代表は、この問題について「あってはならない」と批判し、党として調査結果を公表する方針を示しました。
吉村代表は、両県議に対して記者会見で説明責任を果たすように求めました。
兵庫維新の会代表の金子道仁参院議員は、党紀委員会を開き、3人の処分を決定するとしました。
その他の県議の関与
白井孝明県議は、立花氏と計3度、電話で連絡を取りました。彼は「一方的に斎藤知事だけが悪者のような報道をされていっている。現状がフェアではないと思っていた。情報提供といわれても仕方がない」と述べています。
会見の様子
増山氏、岸口氏、白井氏の3県議は、神戸市内で記者会見を開き、謝罪しましたが、議員辞職は否定しました。
会見は長時間にわたり、約7時間40分に及びました。
増山氏は、立花氏が発信した情報について「今でもデマを言っていたとは認識していない」と述べています。
この問題は、情報公開のあり方、政治家の責任、そして地方議会の信頼性という、複数の重要なテーマを含んでいます。
2/27追記:処分下る
兵庫維新の会に所属する県議会議員が、知事選期間中にNHKから国民を守る党の立花孝志党首に情報提供した問題で、兵庫維新の会が処分を決定しました。
岸口実県議: 最も重い除名処分。当時、百条委員会の副委員長や県議団の団長という立場でありながら、他人への誹謗が含まれる真偽不明の文書を立花氏に渡したことが、党への信頼を失墜させる行為と判断されました。岸口氏は処分について「いたしかたない」と述べ、議員辞職を求める声がある一方で、支持者からは激励の声もあり、当面は無所属で活動する意向を示しています。
増山誠県議: 離党勧告処分。百条委員会の音声を自ら録音して提供したことが、法令順守意識が全く足りない大きな問題とされました。増山氏はすでに離党届を提出しており、処分を重く受け止め反省する意向を示し、今後については無所属で活動したいとしています。
白井孝明県議: 選挙期間中に電話で立花氏とやり取りした白井孝明県議については、今後聞き取りを行い対応を検討するとしています。
処分の理由
兵庫維新の会は、県政に混乱をもたらしたことを謝罪し、事案の重大性や社会的な責任の大きさを踏まえ、公正かつ厳正な処分を迅速に行う必要があったと説明しています。
維新の会代表である吉村洋文氏は、他党の党首への情報提供はルール違反であると指摘しています。
専門家は、増山氏が情報拡散を意図して百条委の秘密会の音声データを立花氏に提供したことについて、2人の行為は百条委の信頼を失わせ、議会、県民の信頼を踏みにじったと指摘しています。
維新の創設者である橋下徹氏は、兵庫県議会の維新はルールを重視する維新の精神から完全に逸脱していると批判しています。
その他の情報
そもそもは斎藤知事を巡る内部告発文書が発端。
維新の兵庫県議は、2023年4月の選挙で9議席から21議席へと倍増。
除名、離党勧告は地方自治への挑戦という重い意味を持っており、2人とも除名にする方が良かったとの意見もあります。
これらの処分は、維新の会が党の規律を維持し、信頼回復を図るための措置であると考えられます。