本家いなてい

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トルコリラ大暴落~政争で通貨・株式・債権のトリプル安~

 

2025年3月19日、トルコリラが急落しました。背景には、トルコ政治の混乱があります。

 

 

 

概要

 

2025年3月19日、トルコの主要野党である共和人民党(CHP)に所属するイスタンブール市長、エクレム・イマモール氏が汚職やテロ組織への資金提供などの容疑で当局に拘束されました。


この出来事は、エルドアン大統領の有力な政敵であり、次期大統領選挙の有力候補とされていたイマモール氏の政治生命に大きな影響を与える可能性があります。


この拘束を受け、トルコリラは対ドルで一時12.7%(または11%)急落し、過去最安値を更新しました。また、株や債券も大幅に下落する、「トリプル安」に見舞われました。

 

 

 

急落の要因

 

政治リスクの増大: 野党の有力政治家の拘束は、トルコの政治情勢に対する不透明感と懸念を大きく高めました。

 

市場は、エルドアン大統領による政敵の排除策であるとの見方を強め、法の支配や民主主義に対する懸念が広がりました。

 

 

 

次期大統領選への影響

 

イマモール氏は非常に人気のある政治家であり、23日には主要野党から次期大統領候補に指名される方向でした。

 

彼の拘束は、次期大統領選の構図を大きく揺るがす可能性があり、政治的な不安定さを招きました。

 

外国人投資家の懸念: 政治的不透明感の増大は、これまでトルコに流入していた外国人投資家の資金を引き上げる要因となり、資本流出の懸念が高まりました。

 

キャリー取引が集中していたトルコリラにとって、急激な変動はさらなる資本流出につながる可能性があります。

 

 

 

学位取り消しの可能性

 

拘束前には、イマモール氏の大学の学位が取り消される可能性も浮上しており、これも次期大統領選への出馬を困難にする要因として認識されました。

 

 

 

市場の反応

 

トルコリラの暴落: 対ドルで一時42リラまで下落し、過去最安値を記録しました。

対円でも約14%急落し、4円台から3.5円を割り込む場面がありました。

 

 

 

株式市場の急落

 

イスタンブール証券取引所では取引開始早々にサーキットブレーカーが発動され、BIST100指数は約6%〜8.7%の大幅安となりました。

 

銀行株指数も大幅に下落しました。

 

 

 

債券市場の動揺

 

外貨建てトルコ国債も売られ、特に満期までの期間が長い債券の下げがきつくなりました。

 

リラ建ての10年物トルコ国債利回りも急騰しました。

 

 

 

トルコ当局の対応

 

中央銀行の外貨売却

 

トルコリラの急落を受け、トルコ中央銀行は過去最大規模となる少なくとも50億ドル、あるいは100億ドル相当の外貨を売却したと報じられています。

関係者によると、国内金融機関が80億〜90億ドルを売却し、リラ相場の安定化を図ったとのことです。

 

財務相の声明

 

シムシェキ財務相は、市場の健全な機能を確保するため必要な措置を取っていると述べ、これまでの経済政策を断固として継続する姿勢を示し、投資家を落ち着かせようとしました。

 

デモの禁止と道路の封鎖

 

イスタンブール知事府はデモや抗議活動を4日間禁止し、イマモール氏が連行される可能性のある警察署周辺の道路を封鎖しました。

 

金融政策への影響

 

アナリストや投資家は、このリラ急落がトルコの金融政策に影響を与えることを懸念しています。

 

エルドアン大統領の意向を受けた利下げサイクルは延期または停止される可能性があり、ある銀行関係者は、リラショックで中央銀行は当面、政策金利の維持を迫られるだろうと述べています。

 

 

 

今後の見通し

 

市場関係者は、政治情勢が明確になるまでトルコリラの上値は重い展開が続くと見ており、さらなる下落の可能性も否定できない状況です。

 

株式市場の下落も数日続くとの見方があります。政治リスクが払拭されない限り、4円台への回復は難しいとされています。

 

長期的な視点で見ても、政治情勢の進展に注意が必要であると指摘されています。

 

一部のストラテジストは、エルドアン大統領が方針を転換しない限り、トルコ資産への激しい売りが数カ月続く可能性も示唆しています。

 

 

 

野党の反発

 

野党側は、イマモール市長の拘束を「次期大統領に対するクーデターの企てだ」などと激しく非難しており、今後、政治的な対立がさらに激化する可能性も考えられます。

 

この一連の出来事は、インフレや通貨安にあえいできたトルコ経済にさらなる影響を与えることが懸念されています。