
国民民主党は、政府が進める食料品中心の消費税減税に対抗する対案として、中間層を対象とした住民税と所得税の恒久的な減税法案を臨時国会に提出する方針を固めました。
2026年10月8日に判明した法案の原案によると、2028年度から住民税の控除額を178万円に引き上げ、2027年分所得税から基礎控除に残る年収制限を撤廃する内容となっています。
政府の消費税減税案との対比
政府は2027年4月から2年間限定で、食料品にかかる消費税率を現行の8%から1%に引き下げる方針を表明しています。
高市早苗首相は代表質問で、消費税減税の財源について「特例公債(赤字国債)に頼らず、歳出・歳入両面の見直しにより確保する」と説明し、社会保障財源に影響を与えないと強調しました。
食料品の消費税率を1%に引き下げることによる国と地方を合わせた年間の税収減は4兆3000億円と試算されています。
これに対して国民民主党は、消費税減税が中間層への負担増につながる可能性を指摘し、恒久的な所得税・住民税減税を対案として提示しています。
玉木雄一郎代表は「中間層の負担を軽減できるような恒久的な政策を対案として示したい」と述べており、住民税の控除額引き上げを柱に据える考えを示しています。
国民民主党の政策背景
国民民主党は、2025年12月に自民党と「年収の壁」を178万円まで引き上げることで合意しています。
この合意により、給与所得者の課税最低限が103万円から178万円まで引き上げられ、基礎控除と給与所得控除の合計額が拡大されました。
野村総合研究所の試算によると、この引き上げによる追加の減税規模は年間約6500億円程度とされています。
今回の減税法案は、この合意をさらに発展させ、中間層まで減税の対象を拡大する内容となっています。
国民民主党の政策資料によると、社会保険料還付付き税額控除の導入も目指しており、現役世代の負担軽減を総合的に進める方針です。
財源をめぐる議論
国民民主党の減税案について、財源の明示が不十分であるとの指摘があります。
野村総合研究所の試算では、年収の壁を178万円まで引き上げる場合の減税規模は年間約1兆8500億円とされています。
これに対して政府は、消費税減税の財源について「租税特別措置、補助金、基金の見直しなど、歳出・歳入両面の見直しにより確保する」と説明していますが、具体策の提示は年末の予算編成プロセスに先送りされています。
自民党の鈴木俊一幹事長は「財源を示さずに減税を主張するのは無責任だ」と指摘し、財政規律を損なう恐れがあると警告しています。
一部の経済学者からは「インフレ懸念がある中で減税を推進することは、財政悪化を招きかねない」との懸念も示されています。
今後の見通し
国民民主党の減税法案は議員立法として提出される見込みですが、与党が衆院で圧倒的多数を握る中で成立するかどうかは不透明です。
ただし、参院では与党が過半数を割っているため、消費税減税法案を円滑に成立させるには野党の協力が必要となります。
自民党の鈴木俊一幹事長は国民民主党との連携を重視する姿勢を示しており、「信頼関係は今後も継続してつくっていきたい」と述べています。
政策転換を主張する国民民主党と、消費税減税を「悲願」とする首相との間で、交渉を通じてどのような合意が得られるかが注目されます。
なお、減税効果の規模については、対象となる中間層の定義や控除額の具体的な引き上げ幅によって変動する可能性があり、現時点では確定的な数字を示すことはできません。これは推測の域を出ない情報です。
情報源
国民民主党、中間層に恒久減税 住民税・所得税対象で政府に対案
【法案提出】議員立法「現役世代減税法案」、「ものづくり中小企業支援法案」を提出
【「年収の壁」178万円に引き上げで合意】玉木代表が高市自民党総裁と会談
178万円までの年収の壁引き上げで合意:追加の減税規模は年間6,500億円程度
『予算カット』簗大臣続投の考え 総理「働いて仕事で返せ」 消費減税1%で4兆3000億円減収と試算 総理「社会保障財源に影響なし」
資料2 2026 6 10 国民民主党 社会保険料還付付き税額控除(所得税・住民税)について