
朝日新聞は6月12日付の社説で、皇族数確保策に関する「立法府の総意」に疑問を呈しました。
しかし、この社説にはいくつか疑問点があります。
まず、「立法府の総意ではない」とする主張です。
社説は13党派のうち6党派が慎重または反対であることを理由に、「総意」の名に値しないとしています。
しかし、国会における「総意」は必ずしも全会一致を意味するものではありません。
主要会派を含む多数の党派が合意しているにもかかわらず、「総意ではない」と断定するのは、かなり厳しい基準を持ち出しているように見えます。
共産党のように皇室の存在自体に否定的な政党もある状態で、朝日新聞社が主張する全員一致しての「総意」は不可能であり、ここに難癖をつけることは議論の合意自体を妨害する行為に他なりません。
次に、皇族数確保の議論から皇位継承制度そのものの議論へ論点を広げている点です。
今回の協議の主な目的は、減少する皇族数への対応策をまとめることでした。
しかし社説は、「男系男子への固執」の是非や女性・女系天皇の議論へと話を展開しています。
そのため、本来のテーマから論点が移っているとの指摘があります。
また、社説は男系男子による継承について、「伝統自体に男尊女卑の考えが埋め込まれている」と主張しています。
しかし、男系継承を支持する立場は、男女の能力や権利の優劣ではなく、皇統の連続性を重視する考え方に基づいています。
したがって、「男系男子=男尊女卑」と結論づけるのは論理の飛躍ではないかとの批判があります。
さらに、社説では「女性・女系天皇を望む声が高まっている」と述べていますが、女性天皇と女系天皇は制度上まったく異なる概念です。
女性天皇には歴史上の前例がありますが、女系天皇には前例がありません。両者を一括りに扱うことで、議論の重要な違いが見えにくくなっています。
憲法第1条の「国民の総意」についての解釈にも疑問があります。
社説は世論調査で女性・女系天皇への支持が高いことを根拠に養子案へ疑問を投げかけています。
しかし、「国民の総意」は一般的に天皇制そのものへの国民的承認を意味すると解されており、個別制度についての世論調査結果と同一視することには異論があります。
女性天皇待望論についても、目立っているのは日本以外の国にルーツを持つ立憲民主党の蓮舫氏ぐらいであり、むしろごく少数派です。
女系天皇に至っては、男系女性天皇と混同している人物が騒いでいる程度です。
加えて、養子案については否定的な意見を詳しく紹介している一方で、男系継承の維持や皇統断絶回避といった賛成論への言及は限定的です。
そのため、社説全体が特定の結論を前提として論じられているように見えるとの指摘もあります。
総じて、この社説は「総意」を問題視する形を取りながら、実際には男系男子による皇位継承制度への批判と、女性・女系天皇の議論を促すことに重点を置いています。
そのため、論点の整理や反対意見の扱いについて、公平性や論理性に疑問を呈する声が上がっています。