
工作機械大手の牧野フライス製作所(本社:千葉県市原市)を巡る買収争奪戦が新たな局面を迎えました。
政府がアジア系投資ファンドMBKパートナーズに対し買収計画の中止を勧告した直後、日系ファンドのNSSKが買収提案を再提示する動きを見せています。
MBKのTOB計画と政府介入
MBKパートナーズは2025年6月、牧野フライスに対し1株11,751円でTOBを発表。
ニデックによる前年の敵対的買収失敗後、「ホワイトナイト」として牧野側も当初賛同し、非公開化を目指していました。
しかし、数度の延期を経て2026年6月下旬開始予定だった計画に対し、22日、政府(財務省)が外為法に基づく中止勧告を発出。
勧告の理由は、安全保障上の懸念です。
牧野フライスの高精度工作機械は防衛装備品製造に不可欠で、「軍事転用可能な機微技術」の流出リスクが高いと判断されました。
これは2008年のJパワー案件以来2例目の措置で、MBKは23日に受領を公表。
拒否すれば中止命令の可能性もあります。
株価急変と市場反応
勧告発表直後、牧野フライス株は22日に一時10%安と急落。
非公開化の道筋が不透明になったためです。
しかし、23日以降は反発し、NSSK関連報道で10%超の上昇を記録する場面もありました。
NSSKの買収提案浮上
日本産業推進機構(NSSK)グループは2025年3月、MBKらと共に初期買収提案を牧野フライスに提出していました。
MBK中止勧告を受け、23日頃に日系ファンドとして再提案へ移行。
安全保障面のハードルが低く、牧野側にとって現実的な選択肢となりそうです。
今後の行方
牧野フライスは2026年通期の業績見通しを維持しており、買収劇の行方は株主総会や追加審査次第。
工作機械業界のM&Aが安全保障規制の影響を強く受ける象徴的事件となっています。