
国民民主党の玉木雄一郎代表が、中国大使館敷地に侵入した自衛官の事件について「受け入れ国の責務を果たせなかった」として日本政府は中国側に謝罪すべきだと発言しました。
この発言が中国の公式メディアやSNS上で繰り返し取り上げられ、日本政府の対応を貶め、中国側の主張を補強する材料として多用されているという事態が起きています。
中国の外務省や国営メディアは、この事件について「日本政府の対応が不十分」「謝罪すら行わない」と難癖をつける際、日本側の批判者の声として玉木氏の発言を引用しています。
これにより、日本国内からも「謝罪せよ」という声が上がっているという印象を強調しています。
こうすることで、中国政府の厳しい対日姿勢を「日本側の怠慢」や「日本社会の危うさ」を根拠に正当化されるかのような演出がなされ、中国国内の「日本批判」感情を高める効果が狙われています。
また、中国のネット言論や官製フェイクニュース系メディアでは、この事件を「日本の軍国主義的気運の表れ」や「日本社会の治安崩壊」の象徴として扱い、玉木氏の発言を「日本側も自白している」というような構図で流布しています。
このように、日本側の政治家の反政府的発言を切り取って、敵対国のイメージを傷つける宣伝材料に変換する手法は、中国の対日情報戦・プロパガンダの典型的なパターンに当てはまっています。
第一に、日本側の対応が外交儀礼や国際法上の問題をめぐる正当な議論から、国内論争に巻き込まれる形で騒ぎが広がり、中国政府の外交的圧力を強める口実を与えているという点があります。
中国側は「日本政府のみならず、日本主要政党の代表までもが謝罪すべきと述べている」というメッセージを中国国内向けに流布することで、日本社会全体が自己批判に陥っているという印象を演出し、外交的な立場を有利にしようとしています。
第二に、こうした情報操作は、中国国内の日本イメージの悪化と、日本旅行や日本製品への警戒、さらには中国国内の「日本は危険」というヘイト感情の助長につながるリスクがあります。
中国政府は、在日中国大使館事件を「日本は治安が悪く、日本人が反中感情を暴力で表現する国」というストーリーに組み込んでおり、その中で玉木氏の発言は、「日本側の自己批判」の証拠として効果的に使われています。
第三に、日本の野党代表が外交的・安全保障的な問題で、日本政府の対応を貶めるような発言をすると、他国から「日本政府はまとまりがなく、野党まで自国を貶める」という印象を持たれる可能性があります。
これは、国際的な外交交渉や安全保障協力の場で、日本側の信頼性を低下させ、中国側の情報戦を有利に運ぶ要因となり得るため、情報戦の観点からも大きな問題と言えます。
第四に、日本国内の世論も、中国側の向けたプロパガンダに反応して、対中強硬論や排外主義が増幅されるリスクがあります。
中国が「日本は危険な国」というイメージを国内で広めれば、中国側は「我々は被害者だ」として一層の報道統制や旅行自粛を理由にしやすくなり、日本側はそれを受けて反発するという悪循環が生まれやすくなります。
従って在日中国大使館への自衛官侵入事件そのものよりも、それにかこつけて玉木代表の発言が中国のプロパガンダに繰り返し加工され、日本政府の対応を貶め、中国国内の反日世論を強化する装置として利用されているという点が、今回の事件の大きな問題と言えます。
こうした情報操作の流れを踏まえると、日本側の政治家やメディアは、海外の情報戦に利用されるリスクが高く、日本を窮地に陥れ中国をアシストする軽率な発言を行った玉木氏は厳しく非難されるべきです。
玉木代表はアメリカのトランプ大統領が行ったイラン情勢に関する演説に対しても、「ますます混迷が深まっている」と批判する発言をしており、日米離間を図り中国を有利にする失言として批判されています。