本家いなてい

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立憲民主党 安保法制で主張反転 立憲民主自己否定

 

立憲民主党の枝野幸男元代表・最高顧問が2025年10月25日にさいたま市で行った講演における安全保障関連法(安保法制)に関する発言は、長年「違憲部分の廃止」を訴えてきた党の従来の立場からの、より踏み込んだ軌道修正として、政界全体に大きな波紋を広げました。

 

枝野氏は安保法制について、成立から10年間で「違憲の部分はない」と明言し、「変えなくていい」との認識を示しました。


この法律は集団的自衛権の限定的な行使を可能にするものですが、枝野氏の主張の核心は、安保法制が認めている内容は個別的自衛権の範囲内に収まっており、法律そのものは憲法違反ではないという点にあります。


枝野氏が憲法違反だと主張しているのは、2015年の安保法制の議論において、当時の安倍内閣が「集団的自衛権の一部行使容認」と「言ったこと」であり、言わなければ問題はなかったとしています。


しかしながら、法律が合憲であるとしても、「拡大解釈して違憲なことを誰かがやるかもしれない」との懸念から、今後の運用に対するチェックが必要であるとの認識も示しています。

 

この枝野氏の発言は、党の現代表である野田佳彦氏の発言よりもさらに踏み込んだものでした。


野田代表は10月15日の党首会談で、安保関連法について「制定されて10年たって明らかに違憲の状態だったことは私の知る限りない」と述べており、直ちに廃止する必要はないとの認識を示していました。


しかし、野田氏は違憲部分があれば廃止するという党の立場自体は変えていませんでした。


枝野氏は、野田代表の発言に先立ち、本庄知史政調会長に「違憲部分は無いと言っていい」とメモを渡し、「もっと踏み込んで言え」と促していたことを明かし、野田代表を「腰引けている」と評しています。

 

枝野氏は、安保法反対を理由に旧希望の党から排除され、2017年に立憲民主党を立ち上げた「創業者」であり、安保法制の「違憲論」は結党の原点でした。


立民は国政選挙の公約で「安保関連法の違憲部分を廃止する」と掲げ続けていました。
このため、枝野氏の「違憲部分はない」との表明は、党内や支持者に大きな動揺をもたらしました。


発足当初からの党所属議員の一人は「枝野氏は党の存在理由を否定した」と語っています。


党執行部も、本庄政調会長が29日の記者会見で、枝野氏の発言を「党の見解ではない。個人の見解だ」として火消しに追われました。

 

立民によるこの安保法制を巡る立場の変化は、先の首相指名選挙での協力協議において、国民民主党などから安保法制の立場の修正を迫られたことが発端となっており、「安保法は合憲との立場に立たざるを得ない」という「現実路線」への軌道修正を図る狙いがあるとみられています。

 

他党からの反応も様々でした。

 

共産党の志位和夫議長は、枝野氏の発言を念頭に、「『安保法制に違憲部分はない』とするのは、党の立党の原点を自ら否定することになるのではないか」と苦言を呈しました。


小池晃書記局長も同様に「立民の原点を自ら否定することになる」と批判しています。

 

自民党の長島昭久前首相補佐官は、かつて「違憲廃案論を主導していたご本人が、あっさり前言撤回とは」と投稿し、枝野氏の発言を「あまりにも無責任な発言」だと厳しく批判しました。


長島氏は、安保法制の「違憲論」が立民の「結党の原点だったはず」だと指摘しています。


また長島氏は、安保法制の「憲法違反」を指摘し続ける立民の小西洋之参院議員の議論自体は首肯できないとしつつも、「枝野さんより遥かに筋が通っていることは認めざるを得ません」と述べています。

 

国民民主党の玉木雄一郎代表は、枝野氏の発言を「正しい方向の変化だ」と肯定的に受け止める一方で、立憲民主党の安保違憲論が野党三党協議の障害になったことを引き合いに「2週間ぐらい前に何で言ってくれなかったのか」と恨み節も漏らしています。