
参院選での大敗後、石破茂首相は政権維持を図るため、外交に注力しています。
一方で自由民主党内では、総裁選の前倒しを巡る議論が始まっており、首相の政治的立場は困難さを増しています。
しがみつく石破
石破首相は、7月20日投開票の参院選で与党が過半数割れに追い込まれ、自民党内で退陣を求める動きが続いている状況において、外交分野で手腕を発揮し、政権維持につなげたいとの思惑を抱いています。
参院選投開票翌日の記者会見では、「国際情勢は政治の状況が整うのを待ってくれない」と述べ、外交の重要性を強調しました。
日米関税合意の着実な履行に向けて米政府の動きを注視しており、最終的には首相が訪米し、トランプ氏に合意履行を直接求める案も取り沙汰されています。
党内では当初、関税交渉妥結までは続投はやむを得ないとの空気がありましたが、交渉決着後も首相は「合意より実行に移す方が難しい」として続投の必要性を強調しています。
主要な外交日程として、首相は8月13日と17日夜にウクライナ有志連合のオンライン首脳会合に出席し、トランプ米大統領の動きを歓迎しつつも、ロシアに対するトランプ氏の譲歩を懸念する欧州各国と足並みをそろえ、「領土問題はウクライナを含める形で議論しなければならない」と発言しました。
また、8月20日から22日には横浜市で開かれる第9回アフリカ開発会議(TICAD9)で議長を務め、アフリカ各国首脳数十人との「マラソン会談」に臨む予定です。
8月23日には6月に就任した韓国の李在明大統領を日本に初めて迎え、首脳間の「シャトル外交」再開など日韓関係の安定的な発展を確認したい考えです。
さらに、8月29日には来日するインドのモディ首相と会談する方向で調整が進められており、9月23日から米ニューヨークで始まる国連総会一般討論演説への参加も視野に入れています。
報道各社の世論調査では野党支持者により内閣支持率が上昇に転じ、首相退陣への反対が賛成を上回る結果が続いており、首相周辺は公務に取り組む姿勢が世論を引きつけたと手応えを感じています。
石破降ろし開始
一方、自民党内では8月19日に総裁選管理委員会の会合が開かれ、参院選大敗を受けた石破首相の退陣論を踏まえ、総裁選の前倒しを巡る議論が始まりました。
この前倒しは、決まれば首相への事実上の「リコール」を意味し、首相の政権運営は困難さを増すとの見方が強まっています。
総裁選の前倒しは党則6条4項に基づき、党所属国会議員295人と都道府県連代表47人の過半数(172人)から要求があれば、臨時の総裁選を実施することとされており、8日の両院議員総会で適用を求める声が相次ぎ、総裁選管の下で過半数の要求があるか確認を進めることが決定しました。
この規定の適用は過去に例がないため、意思確認の方法や時期は手探りの状態です。
退陣を求める旧安倍派や旧茂木派などの議員は、可能な限り早期に意思確認を開始したい考えですが、これに対し、党幹部の一部は、意思確認は8月末に取りまとめる参院選の総括を踏まえた上で実施すべきだとの認識を示しています。
また、総裁選前倒しの議論と並行して、参院選総括後に「責任を明らかにする」と明言した森山裕幹事長の去就も焦点となっています。
首相は「森山氏がいなければ政権はこれまで持たなかった」と周囲に語っており、森山氏が辞任すれば首相の政権運営は行き詰まりかねないとの見方が強く、8月末にかけ、森山氏の進退を巡る駆け引きも活発化すると見られています。
このように、石破首相は、外交手腕を発揮することで国民からの支持を固め、党内の退陣要求に対抗し、自身の政権を維持することを目指している状況です。