2/5 の衆院予算委員会で、質疑に立った国民民主党・橋本幹彦議員を安住淳予算委員長が繰り返し注意する場面がありました。
- 国民民主党の橋本幹彦議員が制服組の出席を要求し、安住淳委員長にたしなめられる
- なぜ制服組は国会に呼ばれないのか
- 実際に答弁を行った場合、議論が偏る可能性がある
- 政治的中立性(特に政府与党におもねる可能性)がある
- 制服組の国会出席を認めた場合の利点
- まとめ
国民民主党の橋本幹彦議員が制服組の出席を要求し、安住淳委員長にたしなめられる
衆院予算委員会の5日の審議で、「制服組」と呼ばれる現役自衛官を国会答弁に呼ぶよう求めた国民民主党の橋本幹彦氏を、安住淳委員長(立憲民主党)が厳しく注意する一幕があった。
国会に参考人として呼ばれる自衛隊員は、慣例として「背広組(事務方)」に限られます。原則として、「制服組(実務方)」はほぼありません。
なぜ制服組は国会に呼ばれないのか
国会への出席がほぼ「背広組」に限られる理由は、文民統制を念頭に置いた慣習によります。
文民統制(シビリアンコントロール)とは、職業軍人ではない文民が軍隊に対して最高の指揮権を持つことであり、軍部の政治への介入を抑制し、民主政治を守るための原則です。
自衛官、特に制服組の国会答弁は、この文民統制の原則との兼ね合いで議論があります。過去の経緯や先の大戦の教訓を踏まえ、文民統制の観点から慎重な判断が求められています。
日本では、常勤の自衛官が在職のまま国会議員選挙に立候補することはできません。
実際に答弁を行った場合、議論が偏る可能性がある
制服組は、有事の際に身を賭して戦うという任務から、軍事的合理性を重視した防衛分野に力点を置きがちです。
国会での答弁が防衛分野に偏り、安全保障全体のバランスを欠く可能性があります。
自衛官の国会出席は、安全保障論議をより現実的で具体的なものにする可能性があります。
しかし、政策主張や観念的な議論が減少し、実態を踏まえた現実的な議論が中心になることで、かえって議論の幅が狭まるという批判も考えられます。
政治的中立性(特に政府与党におもねる可能性)がある
現役自衛官が国会で答弁する場合、政治的な中立性を保つことが重要になります。
答弁内容が現政権の政策に偏ったり、特定の政治的立場を支持するものと解釈されたりするリスクがあります。
制服組の国会出席を認めた場合の利点
国会における安全保障論議の場合、軍事情勢や現地情勢の一次情報を独自に入手できず、また、兵器の性能や運用等の実態が分からないという困難性があります。
現役自衛官から直接説明を聴取し、質疑を行うことができれば、国民にとって有意義な安全保障論議が行われる可能性があります。
これらの問題点を考慮しつつ、周辺の軍事情勢分析や装備の性能・運用構想に限定して説明を聴取し、質疑を行うなど、段階的な導入を検討する余地はあるかもしれません。
まとめ
防衛省・自衛隊は、長年にわたり憲法との関係を問われてきた経緯があり、国民の理解の下で存在を認められてきました。
制服組の国会答弁が、国民の自衛隊に対する理解や信頼を損なうことがないよう、慎重な配慮が必要です。
真のシビリアンコントロールを確保するためには、まずはお互いが何を考え、どのような思考方法をとるのかを知り、信頼関係を醸成することが重要です。