今年度補正予算案ですが、少数与党による政権であるものの可決成立の公算が高くなりました。
まあこのぐらいが妥協ポイントか
自民、公明、国民民主の3党の幹事長が11日、国会内で会談し、国民民主が求める「年収103万円の壁」引き上げについて、「178万円を目指して、来年から引き上げる」ことで合意した。3氏が合意文書に署名した。
所得税の免除特例が適用される、いわゆる「103万円の壁」ですが、これを引き上げれば当然税収が減るため何らかの政策の財源を減らさなければなりません。このへんの目途を国民民主が持っていたわけではなく、不確実な経済成長目当てから与党への責任丸投げなどに至っていました。
これでは与党側もそもそも妥協のしようが無い状態で、しかし所得税収が減ることになる地方行政からの反発を受ける覚悟で妥協しなければ「そもそも補正予算が成立しない」というジレンマに陥っていました。
今回、この周辺の妥協が一気に成立し、補正予算案成立の目途が立ったとのことです。
与党、裏で立憲民主の賛成見込みを取り付けたか
2024年度補正予算案を巡り、自民党は、立憲民主党への働きかけを強めることで、国民民主党を揺さぶり、賛成方針を引き出した。立民の主張する予算案の修正要求も一部受け入れ、12日の予算案の採決につなげた。自民は今後も複数の野党との交渉を並行して進め、少数与党としての国会運営を少しでも優位に運べる環境を整えたい考えだ。
今回事態が動いた理由は、自民と立憲民主の動きにあったようです。立憲民主が能登半島復興予算の増額を盛り込んだ修正案を提出し、与党が補正予算案にこの修正案を含めたことで、立憲民主は同案の賛成方針に転換。
これにより影響力の低下を危惧した国民民主が与党との合意を急ぎ、具体策の後倒しと引き換えに目標額の明記を勝ち取り、賛成方針を決めたようです。
但し政府与党側も道路特定財源の削減を盛り込まざるを得ず、高速道路整備にどの程度影響が出るのか未知数です。高速走行の阻害要因の除去といった日常のメンテナンスはもとより、第二東名や外環道、圏央道の建設予算など・・・
他党のわがままを聞くために与党が財源の責任を負わざるを得ない、それが少数与党のつらいところでしょう。
今回の与野党調整では、維新がまったく存在感を示せていません。これまでであれば国民民主の立場のように是々非々とやらで存在感を出していましたし、先の衆院選で影響力が落ちたといっても、今回の立憲民主のように国民民主をけん制して法案を与党に飲ませることができたはずです。このへんは、吉村新代表の能力が著しく欠けていると思わずにはいられません。
は???補正予算案に立憲民主が反対、維新が賛成???
新たな経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算案は、衆議院予算委員会で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決されました。一部修正の上、衆議院本会議でも可決され、参議院に送られる運びです。
このあと委員会では採決が行われ、立憲民主党の求めに応じる形で自民・公明両党が提出した能登半島の被災地支援を充実させる趣旨を盛り込んだ修正案が、自民・公明両党に加え、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決されました。
そして、補正予算案は自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決されました。立憲民主党、れいわ新選組、共産党などは反対しました。
あれ???
能登半島復興予算をねじこませた立憲民主は補正予算案に反対し、蚊帳の外だった維新は賛成???
細かく追えてないけど、なんでこうなるねん???
12/13追記:もっとも焦ったのは維新か?またも口約束
維新の吉村代表(大阪府知事)は12日、府庁で記者団に「議席数が減っている中で、協議の枠組みができたのは一歩前進だ」と強調した。
執行部は賛成に向けた環境を整えるため、与党側と水面下で交渉を進めた。その結果、「無償化実現に向けた協議の道筋がついた」(幹部)と判断し、賛成にかじを切った。
もっとも、維新は5月末、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開などで与党と合意したにもかかわらず、 反故ほご にされた苦い経験がある。
これは本当に謎なのですが、維新は文通費の取り扱いについて合意文書を取り交わさず、「言った言わない」の低次元な問題を起こした前科があります。
先に予算案賛成を決めた国民民主は合意文書らしきものを公開しており、埋没を恐れたにしても、過去の失敗を繰り返す維新の行動には疑問しかありません。
国民民主の合意後、立憲民主は修正案をねじ込ませた上でなぜか反対、維新は合意文書も無いまま突然の賛成とよくわからない動きが続いています。
特に維新の場合、反与党色を鮮明にしていた吉村-前原体制が賛成を主導しているように見えるので、余計に気持ち悪いところ。