自民党総裁選は、私を含め大方の予想を覆す形で石破茂氏の勝利に終わりました。
しかし終わってから振り返ってみると、この結果も多分に漏れず「なるべくしてなった結果」だったことがわかります。
岸田前総裁(岸田派元領袖)「決選投票では党員票多い候補を支持」
総裁選決選投票直前の状況ですが、選挙戦を通じて上位3名の争いと見られていたところから小泉進次郎氏が徐々に脱落。高市氏と石破氏が上位2名として残り、決選投票となりました。
岸田文雄首相(自民党総裁)は27日午後に投開票する党総裁選について「決選投票では党員・党友票が多かった人に」との意向を旧岸田派の議員に伝えたのが同日、分かった。
自民党内のキングメーカーとされる実力者3名のうち、麻生太郎元首相は、かつて石破茂氏に「麻生降ろし」を仕掛けられた等の経緯から高市支持を表明。逆に菅義偉元首相は、副総裁のポストを打診された等により石破支持に転じました。
麻生vs菅であれば動員力は麻生氏が圧倒しますが、それをもってしても高市氏が優位な状況でした。しかし、もう1名の有力者である岸田前首相の動向によっては逆転もあり得る数差でした。
岸田氏は投票日直前に「決選投票では党員・党友票が多かった人に」との意向を表明。これにより、「岸田前首相の意向は石破支持だ」と受け取られました。
自民党によりますと、衆議院鳥取1区選出の石破氏は154票(議員票46、党員票108)、高市氏は181票(議員票72票、党員票109票)を獲得しました。
実際の投票では、高市氏が獲得した党員票は109票、石破氏は108票でしたので、高市氏が1票上回りました。この時点で「地方では圧倒できる」と思い込んでいた石破氏はショックを受け、呆然とする姿が映像に映し出されていました。
さてこれで岸田氏や元・岸田派所属員が高市氏に投票したかというとそんなことはなく、結果から推察できる通り石破氏に投票したものと思います。その結果、石破氏が決選投票を制しました。
とっくの昔に自爆していた高市氏
高市早苗経済安全保障担当相が2日、岸田文雄首相の地元・広島市で講演した。
話は2024/6/2に遡りますが、高市氏は総裁選を見越した演説活動をすでに開始しており、この日は岸田首相(当時)の地元・広島で演説しています。
この時点で、岸田首相は総裁選不出馬を表明しておりませんでした。出馬予定である自らの選挙区に、同じく出馬を目指しており、あまつさえ自分の内閣の閣僚が平然と敵対行動を行ってきたことになります。
記事タイトルは、そのものズバリ『高市氏、首相の地元に「殴り込み」』。
現職閣僚がお膝元に「殴り込み」をかけた形で、首相を支える地元関係者は「失礼だ」と反発。
この問題は山陰中央新報でも報じられていますが、こんな事をやられた以上、決選投票で岸田氏・岸田系の人間が高市氏に投票することはまずあり得ないと思います。
最後まで日本保守党に騙され続けた高市早苗氏
第一部の門田隆将先生のお話は、岸田批判、自民党批判、公明党批判のオンパレードです。そしてそのたびに会場から熱い拍手が起きるのです。そして救国の政治家は高市早苗しかいないと訴えると会場から割れんばかりの拍手が起きるのです。
これは(恐らく)高市支持者のブログからの引用ですので、その点も含めた信頼性ということでオナシャス
門田隆将氏といえば極端に右に傾いた人としてそれなりに名前が知られており、そのような思想から日本保守党と非常に近い人物です。「近い」というのは、議員候補としては名前が出ていなそうだったのでまあその程度の距離感なのかなと。
ただこういった人物を近づけているのは高市氏の大失態で、この演説会でも高市氏を持ち上げるために岸田首相や自民党を下げる演説をやられています。こんなことをされては、自民党内で批判されことすれ、支持されるはずがありません。
あまつさえ、岸田首相の名前を出されては。
Youtube で公開されているこの「応援ソング」なるものを開くと、タグに次のような文字列が設定されていました。
そこにはなぜか自民党や自由民主党の文字はなく、まったく無関係な日本保守党という文字列が設定されています。
総裁選序盤で高市氏が「自らの応援ソング」を作ってもらったとして紹介していましたが、そこに自民党の名前はなく、なぜか全く無関係な日本保守党のタグが埋め込まれていました。
これを見て私は「高市はまずい。日本保守党の罠の対策をしないと負ける」と思ったのですが、最後まで気がつくことはなかったようです。気が付かないどころか、6月初旬には日本保守党関係で演説会を開くほど懇ろだった・・・
これでは総裁選に勝つことなどどだい不可能であり、むしろよくここまで票を取れたものだと思います。
石破ショック
高市氏が岸田氏に喧嘩を売っていたこともあり、決選投票では「どちらがより嫌われているか」の戦いを制した石破氏の勝利となりました。
石破氏当選が決まった瞬間に急激な円伸長・株価2000円下落というパニック相場となりました。これはこれまで石破氏が緊縮財政のような公約を述べていたことによる警戒感からですが、すでにこれまでの公約なにそれという感じなのでむしろ今後相場が落ち着いてくるっものと思います。
現時点では財務閣僚が不明なので、それ次第というところもあります。
高市氏は、MMTっぽい政策を持ち出したり、企業の内部留保の用途を明示させるとか訳わからないことを喋っていたり、経済政策でかなり不信感のある人物でもありました。
石破氏が勝利したため、少なくともこれらの公約が実行される可能性はなくなり、その意味では安心感があるといえます。
繰り返しますが、やはり財相次第。とはいえ、官房長官に林芳正氏を留任、幹事長に森山氏を起用したあたりは意外にも手堅い人事で安心感があり、この調子で財務相も指名してくれればと思います。